PayPay経済圏のさらなる拡大へ。Zフィナンシャルが目指す未来

日常のあらゆる買い物シーンでスマホ決済が急速に浸透している昨今。Zホールディングスは、PayPayを中心とした経済圏のさらなる拡大を目指し、2020年秋から、傘下および出資している金融事業会社5社のPayPayブランドへの統一を開始しました。今回、統一完了に伴い、それぞれのサービスが拡充されてきたタイミングで「ZフィナンシャルとPayPayブランド金融事業」に関する説明会を開催しましたので、その内容をご紹介します。

圧倒的なユーザー基盤を活かし、経済圏の拡大を目指す

PROFILE

小笠原 真吾:Zフィナンシャル株式会社 執行役員経営企画部長
2018年、ヤフーに入社。2019年、コマースカンパニー金融統括本部事業推進本部長とZフィナンシャル経営企画部長を兼務。2020年より、Zフィナンシャル執行役員経営企画部長。2022年よりPayPay銀行取締役も兼務している。

はじめに、Zフィナンシャル株式会社 執行役員経営企画部⻑の小笠原真吾が、Zフィナンシャルの目指す姿、そしてそれを具現化するためのPayPayブランド金融事業の方針について説明しました。

ポイントは2点あり、1つ目は、LINE、ヤフー、PayPayという大きなユーザー接点を持つ3つのサービスがそろっている強みを活かし、ID連携やポイント統合などを通じてユーザー基盤をさらに強固にしていくこと。2つ目は、圧倒的なユーザー基盤を活かしてto Cto B、その両方の経済圏もいっそうの拡大を目指すことです。

小笠原は、PayPayブランドの事業戦略を3階建て構造になぞらえ、「PayPayのビジネスは1階の決済手数料ビジネスから始まりましたが、いまでは2階の加盟店向けビジネス、3階の金融サービスと徐々に拡大してきています」と現状を述べ、2階・3階のマネタイズを加速させることで、Zホールディングスグループとして目指しているメディア、コマースに次ぐ第3の収益の柱の創出を掲げました。
現在、登録ユーザー数が5500万人に達しているPayPay。その展望について小笠原は「ブランドを統一しサービス内の連携を高めることで、ユーザーにPayPayポイントがよりたまりやすい仕組みを作っていく。ユーザーエンゲージメントが高まることで、さらにPayPayのユーザー基盤が拡大する。このサイクルを作り出していきたいです」と述べました。

Zフィナンシャルが先に見据えるのはデータ・AIでさまざまな制約を取り払い、金融をもっと自由にすること。データとAIの活用で選択の自由を創出し、これまで適切な金融サービスを享受できなかった層にもリーチを広げる。そういった金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)を実現することで、全ての人のお金に関する多様な課題を解決し、ひいては全ての人がチャレンジ・再チャレンジできる社会。そんな未来図を描きます。

ここで、Zフィナンシャルの立ち位置について振り返ります。PayPayサービスが開始した翌年の2019年に設立されたZフィナンシャルは、金融会社のガバナンス機能をもちつつ、同じように戦略を持って進めていく取り組みも多いため、グループ間の横串機能ももちあわせます。PayPayとPayPay銀行、PayPayPayPayカード、PayPayPayPayほけんといった形で、個社と個社で連携することも多く、全体の戦略立案、プロジェクトなどの立ち上げなどをはじめとして、各社の連携をスムーズにするハブの役割を担い、金融サービスのPayPayブランド化を進めてきました。

PayPayブランドに統一したことによるメリットについて一定の効果がみられたとするZフィナンシャル。実際に銀行を例に挙げると、ジャパンネット銀行はPayPay銀行に改称したことで、個人口座の申込数が約6.5倍、個人ローンの申込数が約3倍に増加したと発表しました。その理由について小笠原は「PayPayの既存のアプリに証券や保険、銀行などのミニアプリが連携しているため、『ジャパンネット銀行』と表示されるよりも、『PayPay銀行』と表示された方が、お客様にも『PayPayに関連したサービスを使っているんだ』と感じていただけるはず」と分析。金融まわりのサービスがPayPayというひとつの入り口にまとめられたことで、より使いやすくなったといえるかもしれません。

ほかにも、PayPayカードの申込みからPayPay銀行の口座開設につながる導線づくりや、PayPayカードとPayPayアプリと連動させた新サービス「PayPayあと払い」の開始、また、PayPayで保険申し込み、保険料支払い、保険金請求まですべて完結するミニアプリ「PayPayほけん(1dayほけん)」のリリースと、シームレスな金融サービスを次々と展開するZフィナンシャル。さまざまな施策の結果、保険契約数は2年で10倍、銀行口座数は2年で1.3倍、ローン残高は2年で4倍と着実に業績を伸ばしています。

「さまざまな金融サービスとPayPayとのシナジーを今後ますます発揮していきたい」と抱負を述べた小笠原。PayPayを軸にした経済圏がどこまで拡大し、どのように発展するのか。今後の動きにもぜひご注目ください。

各金融事業の詳細については、各社広報が個々の事業の概要と戦略を説明しました。

PayPay

PayPayは「暮らしのすべてをスマホひとつで可能にするスーパーアプリ」を目指し、201810月にサービス提供を開始しました。20232月時点の登録ユーザー数は5,500万人を突破しています。

2023年112日に「data.ai」(※1)が公表した調査によると、PayPay2022年のダウンロード数ランキングにおいて、民間企業が提供するアプリの中で1位を獲得することができました。2021年度の国内のコード決済サービスにおけるPayPayの取扱高のシェアは約67%、決済回数におけるシェアは約65%と、国内コード決済サービスの中で圧倒的No.1(※2)の地位を築いています。さらに、2021年の「スマホ決済における送金回数シェア」はPayPay87%を占めており、こちらも圧倒的No.1(※2)となっています。

    1 2023112data.ai公表:「モバイル市場年間20232022年市場別ランキング トップアプリより抜粋
    2 一般社団法人キャッシュレス推進協議会 コード決済利用動向調査を基にPayPayにて算出

PayPayが市場シェアをここまで拡大できた背景には、3つの理由があります。

1つ目は、アプリの直感的なUI/UXです。使いやすさを追求し、ほぼ毎週アップデートを行っています。2つ目の理由は、使える場所が多いことです。実店舗・オンラインサービスを問わず、あらゆる場所で利用できます。AmazonNetflixなどの人気オンラインサービスも、PayPayで決済いただけます。3つ目は、各種キャンペーンやグループサービスを利用することで「PayPayポイント」がザクザク貯まるお得な環境を提供していることです。

今後も、暮らしの全てをPayPayアプリで完結できるよう、サービスをさらに進化させていきます。

PayPayカード

PayPayカードは、ヤフーからクレジットカード事業を取得し、202210月より、PayPay株式会社の完全子会社になりました。両社の一体運営の背景として、PayPayの決済を利用いただけなくても、クレジットカードは利用できる店舗が実際に存在する中で、PayPayの決済ができない店舗でも、PayPayカードを利用して決済していただくことで、決済を行う際には常にPayPayブランドが関わっていきたいという思いから、このように組織体制を変更しました。

PayPayとPayPayカードのシナジーを生み出すための施策として、20222月に「PayPayあと払い」というサービスをローンチしました。PayPayカードとPayPayアプリを紐づけることによって、事前の残高チャージが必要なく当月に利用した金額を翌月まとめて支払えるサービスです。

さらに、202211月には新たに「PayPayカード ゴールド」の提供を開始しました。「PayPayカード ゴールド」の利用かつ、「PayPayあと払い」で決済すると、 PayPayポイントが最大2%付与されます(PayPayステップの付与率に「PayPayカード ゴールド」の特典0.5%をさらに上乗せして付与)。

PayPayポイントの強みは、有効期限がないこと、ポイントが貯まりやすいこと、利用場所が多いことの3点です。今後もよりポイントが貯めやすくなるよう、グループ連携を強化していきます。

PayPayほけん

PayPayほけんでは、PayPayアプリ上で保険に加入できるPayPayミニアプリの「PayPayほけん(1dayほけん)」、ヤフーのサービス上でショッピングや旅行予約時に加入できる「シナリオ保険」の2タイプの保険サービスを提供しています。

現在、10種類の商品を提供しているミニアプリの「PayPayほけん(1dayほけん)」の特徴は、手続きが簡単で、契約することでPayPayポイントが貯まる点。保険料はPayPay残高で決済でき、保険金の請求も一部の商品を除きPayPayアプリから手続きできます。

なかでも業界初の保険商品「熱中症お見舞い金」や国内初の保険商品「インフルエンザお見舞い金」、業界最安プランで提供の「あんしんドライブ」など、世相やユーザーのニーズに着目した保険商品の企画・販売に力を入れています。

PayPay銀行

2021年4月にジャパンネット銀行からPayPay銀行へと社名変更した結果、PayPayユーザーを中心により多くのお客様に口座開設いただき、2021年度には600万口座を突破しました。

さまざまな形で提供している決済サービスについても、決済件数が2年で1.6倍、過去最高の決済件数のペースで推移。個人ローンの申し込み件数についても、2年で2.8倍と急増。同様に預金残高も2年で5,000億円強増加しています。

「PayPayユーザーにとって、個人も法人も、1番便利でお得な銀行」を目指しています。サービスをストレスなくお客様に使ってもらえるよう、PayPayアプリから1タップで取引明細の確認や振り込みの手続きができるミニアプリ「PayPay銀行」の提供を20228月より開始しました。

今後は、より多くのPayPayユーザーに利用していただくことを目指し、ストレスのないシームレスなユーザー体験を提供していきます。また、個人ローンや融資、外貨預金などの商品ニーズにも応えることで、サービスを磨き上げていきます。

PayPay証券

PayPay証券では、3つのプロダクトを提供しています。

PayPay証券の100%子会社PPSCインベストメントサービスが提供する「ポイント運用」サービスは、202212月、ユーザー数が800万を突破しました。直近2カ月では100万ユーザー増と、急激なペースで成長しています。口座開設も不要で、規約に同意すれば始められる手軽さがユーザーから好意的に評価されています。

ETF・投資信託9銘柄から選んで購入できる「PayPay資産運用」は、PayPayマネーを使って資産運用ができるサービスです。PayPayのトップ画面からすぐに遷移でき、手軽にスタートできます。投資信託であれば100円から積み立てを開始でき、気軽にお使いいただけます。

PayPay証券アプリ」では現在、日米株約300銘柄を取りそろえています。1,000円から日米の有名企業の株式を購入できる点が特徴です。こちらのサービスは、「20222023年 オリコン顧客満足度R調査」の「スマホ証券専業」ランキングにて2年連続1位を獲得しました。手軽ながら、本格的な資産運用ができる点を評価いただきました。

PayPay証券は今後も、「資産運用をアップデート」するというミッションをもとに、誰もがお金の不安をなくし、よりよい暮らしを送れる未来を作っていきます。

PayPayアセットマネジメント

PayPayアセットマネジメントは、PayPayブランド唯一の資産運用会社です。投資信託を組成し、株式市場や債券市場などの資本市場を通じてお客さまのお金を運用し、信託報酬をいただいています。

お客様からお預かりしている資産運用残高は、202212月末時点で2,487億円に達しました。「おカネに働いてもらう楽しさをすべての人に」を合言葉に、コストを業界最低水準に抑えたPayPay投信インデックスファンドシリーズ4商品などを提供しています。

PayPayアセットマネジメントは、テック企業(Z financial)と伝統的資産運用会社(アセットマネジメントOne)を株主とする、業界内でも稀有な会社です。この両社のシナジーを生み出し、より大きく成長していくステージに入っていきます。

また、PayPayブランド内唯一の資産運用会社として、PayPayグループ各社と協力し、お客様のニーズに沿った資産運用商品を今後も組成・提供していきます。

  • 取材日:2023年2月17日 公開日:2023年3月13日
    (この記事は、2023年2月17日にZホールディングス株式会社が開催した、報道関係者向けの「ZフィナンシャルとPayPayブランド金融事業」に関する説明会を元に構成しました)
    記事中の所属・肩書きなどは取材日時点のものです。
    取材・ 執筆:樋口正 石川聡子 編集:Dellows