研究開発と知的財産
Zホールディングスグループのヤフーでは、情報技術社会の発展へ貢献するために、Yahoo! JAPAN研究所での研究開発や、知的財産戦略にのっとった特許出願の促進、OSS(オープンソースソフトウエア)の開発などオープンイノベーションの推進を行っています。
また、ZOZOテクノロジーズの研究・開発部門であるZOZO研究所では、「ファッションを数値化する」ことをミッションにし、研究を進めています。
INDEX
ヤフーの研究開発と、知的財産戦略
「UPDATE JAPAN」をミッションに掲げ、日本をもっと便利にしていこうとしているヤフー。それを先進技術で支える存在として、Yahoo! JAPAN研究所は次世代インターネット関連技術の研究開発に取り組んでいます。
また、絶え間なくイノベーションが生まれる環境をつくるため、優れたアイデアやデザイン等の創作を奨励する「発明報奨金制度」を設けているほか、業界や競合企業の先進的な技術、ビジネスモデルに関する情報の収集と発信を、社内外へ向けて積極的に行っています。
それと同時に、公正で自由な競争を確保するため、自社の特許などについて知的財産ポートフォリオを構築、活用しつつ、他社の知的財産権を尊重するためのリスク評価にも力を入れています。
こうして生まれた研究開発成果や知的財産は、情報技術社会の発展へ貢献するため、OSS(オープンソースソフトウエア)などの形で社外へも公開し、活用いただいています。
Yahoo! JAPAN研究所について
Yahoo! JAPAN研究所は、生活のさまざまな局面で多様なデバイスが活用され多様なデータが蓄積されていくなか、個々人への理解を深めて、世の中の動きを理解することにより、次の課題解決につながる価値の創出を目指しています。
ヤフーに日々蓄積される膨大なデータ、ヤフーのサービスを日々使っていただくユーザーの皆様の声、こうした貴重な環境を最大限の成果に結びつけるべく、Yahoo! JAPAN研究所はヤフーの各サービス部門、数々の大学・研究機関と広く連携しつつ研究開発を行っております。また、今後の研究開発に活かしていただくことを期待し、学生の皆様向けのインターンシッププログラムも実施しています。
研究開発の成果は積極的に公開していく方針をとっています。大学との共同研究の成果はもちろん、最近ではサービス側の開発チームとの協業成果も発信しています。
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ZOZOグループの研究・開発部門「ZOZO研究所」
ZOZOグループであるZOZOテクノロジーズでは、研究・開発部門として「ZOZO研究所」を運営しています。ZOZO研究所は「ファッションを数値化する」ことをミッションとして研究開発を行っています。ZOZOグループが保有する情報資産を基に、人々を魅了し悩ませ続けてきた「美しい」「カッコいい」「かわいい」ファッションとはいったい何なのかを科学的に解明することを目指しています。
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研究がサービスに結びついた事例
Yahoo!ニュースの建設的コメント順位付け
Yahoo!ニュースのコメントを建設的順に並び替えるモデルを研究開発し、コメント一覧機能に導入しました。
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「Yahoo!乗換案内」アプリの「異常混雑予報」機能
位置履歴データを用いて、数日前の時点から人口異常を「予測」する研究が、電車内や駅のいつもと違う混雑度を10分単位で予測する「異常混雑予報」機能に結びつきました。
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生体認証デバイスなどを利用して安全なログインを実現する規格「FIDO(ファイド)2」に対応
ヤフーは、生体認証などの次世代認証の標準化を提唱する業界団体FIDO(ファイド)アライアンスの新たな規格「FIDO2」の認定を、2018年8月に世界で初めて開催された「FIDO2」認定テストにおいて取得。国内企業では初の認定取得となります。
2018年10月からAndroidスマートフォンのウェブブラウザー上において、ヤフーのサービスに指紋認証などの生体認証を使用してログインできるようになりました。
Yahoo!ニュースのトピックス見出し候補を自動生成
Yahoo!ニュースのトピックス見出し候補を自動生成するモデルを研究開発し、編集支援ツールに導入しました
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研究成果の積極的な発信
Yahoo! JAPAN研究所の研究成果は、世界トップクラスの国際カンファレンスなどで積極的に発信しています。
論文発表数

研究成果の発信
- ※2019年のおもな発表学会
•AAAI(Association for the Advancement of Artificial Intelligence):人工知能分野のトップカンファレンス
•ACL(Annual Meeting of the Association for Computational Linguistics):自然言語処理・計算言語学の分野のトップカンファレンス
•CHI(Conference on Human Factors in Computing Systems):ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(人がコンピューターをより効率的に使えるような設計を研究する分野)のトップカンファレンス
•KDD(International Conference on Knowledge Discovery and Data Mining):機械学習/データーマイニング分野のトップカンファレンス
特許取得につながった研究所の論文
Yahoo! JAPAN研究所が発表した論文から、多くの特許が生まれています。以下に、その一覧をまとめました。
年度 | 論文、OSS名 | 区分 |
---|---|---|
2019 | 検索パラメータの調整 | ‐ |
2019 | 対象精度区間における指標測定 | ‐ |
2019 | グラフ型インデックスの生成時間調整 | ‐ |
2019 | シングルタップとダブルタップの識別予測に基づくシングルタップ操作のレイテンシ低減手法 | DOMESTIC |
2019 | 静電容量方式タッチサーフェスにおける手指の爪を使用したタッチ入力拡張技法 | DOMESTIC |
2019 | Weakly Supervised Multilingual Causality Extraction from Wikipedia | INTERNATIONAL |
2019 | Real-World Product Deployment of Adaptive Push Notification Scheduling on Smartphones | INTERNATIONAL |
2019 | Simultaneous Detection and Localization of a Wake-Up Word using Multi-Task Learning of the Duration and Endpoint | INTERNATIONAL |
2019 | Parasitic Location Logging: Estimating Users’ Location from Context of Passersby | INTERNATIONAL |
2019 | Context-Aware Authentication Using Co-Located Devices | INTERNATIONAL |
2019 | 分散表現の学習時間を短縮化するAI技術「yskip」(OSS公開) | ‐ |
2019 | A Case Study on Neural Headline Generation for Editing Support | INTERNATIONAL |
2019 | Dataset Creation for Ranking Constructive News Comments | INTERNATIONAL |
- 2018年以前の論文
- *リンク先はヤフー株式会社のページとなります
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特許ポートフォリオ
パテントスコア(※)を用いて、会社全体として保有する特許資産を質と量の両面から評価した総合力を縦軸に、保有する中でもっとも価値の高い特許の個別力を横軸に置いた図。丸の大きさは、特許件数を表しています。保有する国内特許全体の同業他社比較においても、ヤフーは世界有数の企業群と肩を並べており、注力分野の一つである電子商取引分野では、とくに有利な地位を確立しています。
- ※パテントスコアとは、特許の注目度を指標化したものです。「パテントスコアの数値が高い特許は、市場の注目度が高い特許」、「パテントスコアの数値が低い特許は、注目度が低い特許」、ということになります。

全体

電子商取引(広告&eコマース)分野
特許資産規模ランキング
パテントスコアを用いて、会社全体として保有する特許資産を質と量の両面から総合評価したランキング。パテントリザルト社が公表した「情報通信業界 特許資産規模ランキング2019」にて、ヤフーが日本における特許総合力ランキング2位を獲得しました。ヤフーの注目度が高い特許として「ナビゲーションシステムにおける広告提供」や「インターネット広告における広告コンテンツの視認性を高めた表示プログラム」が挙げられています。
順位 | 企業名 | 特許資産規模(pt) | 特許件数 |
---|---|---|---|
1 | NTT | 28,431.3 | 1,418 |
2 | ヤフー | 17,876.0 | 323 |
3 | 11,993.2 | 208 | |
4 | KDDI | 8,930.5 | 439 |
5 | AMAZON TECHNOLOGIES | 7,737.6 | 152 |
6 | XIAOMI(中華人民共和国) | 7,619.4 | 190 |
7 | NTTドコモ | 7,424.5 | 337 |
8 | コロプラ | 6,178.9 | 115 |
9 | 楽天 | 5,264.1 | 90 |
10 | コナミデジタルエンタテインメント | 5,198.3 | 137 |
国内特許出願件数の推移
ヤフーでは、2014年度に、現行の発明報奨金制度および表彰制度をスタートさせ、以降、年を追うごとに社内全体からの出願件数を伸ばしてきました。近年、ヤフーは、強みであるマルチビッグデータの利活用を推進しています。データの利活用を支えるデータサイエンス領域の研究開発や、データを利活用したサービスの改善に全社を挙げて注力しており、それらの成果を特許権で保護し、資産化すべく、積極的に特許出願を行っています。
ヤフーの出願件数推移

オープンイノベーションの推進
Yahoo! JAPAN研究所での開発成果や、ヤフー社内から生まれた知的財産は、情報技術社会の発展へ貢献するため、OSS(オープンソースソフトウエア)などの形で社外へも公開し、さまざまな場面で活用いただいています。健全な市場形成を促していくことで、ヤフーの将来の発展にも寄与していきます。
分散表現の学習時間を短縮するAI技術OSS化
AI・自然言語処理技術の一つである分散表現の学習時間を短縮化する技術「yskip」を、OSS(オープンソースソフトウェア)として公開。この技術を用いて大量のテキストデータからさまざまな単語の関係性を機械学習し、単語同士の意味の相違を機械的に推定し、ユーザーの興味関心情報と記事や広告のマッチングの裏側の技術として活用しています。
OSSデベロッパー認定制度
ヤフーが戦略的に採用しているOSS(オープンソースソフトウエア)に対し、デベロッパーを認定。対象OSSの開発時間を業務扱いとしたり、対象OSS開発や関連する活動について年間100万円を上限とした活動予算枠を付与したりするなど、OSSコミッターとして活動できる環境を提供しています。
NGT(Neighborhood Graph and Tree for Indexing)
ヤフーが開発したOSS。大量のデータベースの中から、テキストや画像、商品・ユーザーデータなど、複数の特徴を持つデータ(高次元データ)を、高速に検索・特定できるソフトウェアです。情報処理学会2019年度業績賞を受賞しました。
外部パートナーとの協働
Zホールディングスグループのヤフーでは、企業や大学、研究機関などさまざまな分野のパートナーのみなさまと協働し、お客さまの生活をより便利に、そして豊かにしていくとともに、社会課題の解決に取組んでいきます。
Yahoo! JAPAN研究所、アニコムと共同でペットフードとアレルギー疾患の関連性に関する研究結果を発表
ペットフードの原材料とアレルギー疾患への罹患に関連性があるのではないかという仮説をもとに、アニコムが保有する保険金請求データおよびアンケート結果、ヤフーが保有するeコマースでのペットフードの購入データの両軸から分析・検証を実施します。
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株式会社ZOZO、米イェール大学と経済学を応用し顧客インセンティブや行動心理の理解、顧客コミュニケーションの最適化を目指す共同研究を開始
経済学の学問分野である計量マーケティングや実証産業組織論を専門とする米イェール大学経営大学院マーケティング学科准教授の上武氏の知見と、ZOZOTOWNの保有する大規模かつ多様なデータとを掛け合わせることにより、顧客インセンティブや顧客心理に関して深く理解したうえで、ユーザーごとに最適なコミュニケーションを実現していくことを目的としています。これにより、ZOZOTOWN上でのサービス機能のさらなる拡充と、ZOZOTOWNユーザーにとっての長期的な利用価値の最大化を目指します。
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西武鉄道とヤフー、ビッグデータとAIを活用し、鉄道の混雑予測を発信する実証実験を実施
乗換検索サービス「Yahoo!乗換案内」などで蓄積される将来の予定を含む路線検索履歴のビッグデータを個人が特定できないよう統計化したうえで、AI(機械学習)による解析を行い、駅ごとの混雑パターンを推定。さらに、西武鉄道の駅別・時間帯別の降車人数データを掛け合わせることで、より高精度な混雑予測を実現します。
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ヤフー、AIを活用した企業間ビッグデータ連携の実証実験を実施
ヤフーは、日産自動車株式会社・江崎グリコ株式会社・公益社団法人日本プロサッカーリーグ・神戸市・福岡市といった企業や自治体などそれぞれとAIを活用した企業間ビッグデータ連携の実証実験を実施しました。
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ヤフー、東京都と共同でAIを用いた熱中症予防に関する実証実験を実施
東京都と協同で、イベント会場など混雑する場所の熱中症リスクを高精度に予測する実証実験を実施しました。
環境省が公開している熱中症予防を目的とした気温以外の要素も含む暑さ指数(WBGT)のオープンデータと、ヤフーが保有する位置情報ビッグデータを元にした暑さ指数の上昇要因になるとされる混雑情報を用い、双方を掛け合わせたビッグデータをAI技術で解析し、リスク予測しました。