MESSAGE

代表取締役社長 Co-CEO 川邊 健太郎

圧倒的な「打席数」で、
打率を上げ、
圧倒的な存在へ。

代表取締役社長
Co-CEO
川邊 健太郎

統合の意義

日本のインターネットユーザーほぼすべてにアプローチできるという強み。

 LINEとの経営統合によって得られる最大の強みは、ユーザー「接点」の飛躍的な増加です。Yahoo! JAPANの8,000万ユーザーにLINEの8,600万ユーザーが加わったことは、日本のインターネット人口のほぼすべての人へのアプローチが可能になったことを意味します。検索やニュースをはじめ、広告にコマースなど、インターネットを通じて多様なサービスをお届けするわれわれのビジネスでは、どれだけ多くのユーザーと接点を持つかが競争力の基礎になります。その接点とは、野球でたとえれば「打席数」。つまり「打席に立てる回数」が圧倒的に増えたわけです。それは、今後展開していくすべての事業において強力なアドバンテージとなります。

 さらにこれからは、打席数だけではなく「打率」、すなわち「ヒットを打つ力」も高めていけると考えています。ここでいう打率とは、たとえばユーザー一人ひとりにどれだけ最適な情報をリコメンド(おすすめ)していけるか、という能力です。かつては人間の仕事でしたが、今この役割を担っているのは高性能のAIです。ユーザーとの接点から得られた膨大なデータを365日・24時間休むことなく学習・解析し、それぞれのユーザーへ的確に提案する。この「打率」を限りなく高め続けていけるという点において、人間はAIにかないません。

 ただし、優れたAIの開発には人間の力が不可欠です。これを担うのがデータサイエンティストと呼ばれる技術者たちです。優秀な技術者の数は限られているため、これまではYahoo! JAPANとLINEで人材を奪い合っていました。しかし海外展開をするLINEとの経営統合により、今後はグローバルでもZホールディングスの採用力が高まり、私たちが来てほしいと思う人に来てもらえる状況になっていくでしょう。優秀な技術者の獲得によってAIの性能はさらに向上し、一層の打率アップにつながっていきます。圧倒的な「打席数」に、この「高打率」が加わることで、すべての事業領域でさらなる成長が期待できます。

Zホールディングスがめざす未来

さまざまな領域で社会課題を解決できる企業グループに。

 今回の経営統合によって、新生・Zホールディングスグループは、検索・ポータル(玄関)、広告、メッセンジャー、コマース、フィンテックなど多くの分野で日本トップクラスの強力な事業・サービスを保有する企業グループとなりました。統合後は、祖業であり事業発展の礎でもある検索・ポータル、広告、そしてメッセンジャーの根幹領域を引き続き成長させていきます。また、特にインターネットのチカラでまだまだ課題解決が見込めるコマース、ローカル・バーティカル(宿泊予約や飲食店予約などの特化型メディア)、フィンテック、社会の4領域において、データとAIを掛け合わせながら、新たな価値やシナジーを創出していく方針です。

 「社会」の中で今後注力していく領域のひとつが、行政サービスのデジタルトランスフォーメーション(DX)です。日本でインターネットが普及し始めてからすでに20数年が経過し、民間ではデジタル技術を活用した新サービスが続々と生まれ、浸透しています。しかしながら行政サービスに関しては、多くの分野でデジタル化が進んでいないのが実情であり、コロナ禍が長期化するなか改めて社会課題としてクローズアップされています。

 こうした状況において当社グループは、政府や自治体が進めるDX化に積極的に協力し、網羅的かつ分かりやすい行政手続きの情報の拡充と、内閣府の「マイナポータル」と連携したオンライン行政手続きを開始します。ほかにも、人々がいつでもどこでもオンライン診療を受けられる世界を推進するため、ヘルスケアのDX化に取り組んでいきます。また、災害大国日本において、Yahoo! JAPANやLINEがそれぞれ情報発信などに取り組んできましたが、平時から災害の警戒時、発生時、その後の復旧・復興時と、さまざまなステージにおいて課題を抱える防災についても、これまで以上にデジタル技術で貢献していく考えです。

さらには、LINEとの経営統合を機に、グローバルで生まれたサービスの日本への輸入も視野に入れます。また、国内で生み出したサービスをグローバルに輸出するとともに、海外で強いリーチを持つLINEを起点とした海外展開、そして我々の親会社であるソフトバンク、NAVERの知見や技術も存分に活かしながら、海外展開を図っていきます。

いまだ残る不便や不満をインターネットの力で解決し、皆さんに「できるを、もっと。」を届ける。それが新生Zホールディングスのめざすところです。

代表取締役 Co-CEO 出澤 剛

より多くのユーザーに、
より大きな「WOW」を。

代表取締役
Co-CEO
出澤 剛

統合の意義

ユーザーの暮らしの全領域にベネフィットを提供する。

 20年前の設立以来、LINEが価値観として最も大切にしているのが「WOW(驚き・感動)」の提供です。新しい商品やサービスをつくるときには、そこに「WOW」が無ければやる意味はない、というのが私たちが一貫して持ち続けてきた信念です。そして、今回の経営統合によって、私たちはより大きな「WOW」をユーザーに提供できるようになる、と私は考えています。

 LINEが推進してきた「スマートポータル戦略」は、8,600万のユーザーをもつコミュニケーションアプリ「LINE」をポータルとして、多様なサービスへとユーザーを導いて事業を拡大していこうという成長戦略です。今の若い世代にとって、インターネットへの入口は電子メールやPC検索ではなく、メッセンジャーアプリや地図アプリです。そこからごく自然に意識することなく、いろいろなデジタルサービスを利用しているわけです。一方、その裏側では、膨大なデータとAIによってアップデートが絶え間なく行われています。そうした事業環境を踏まえ、私たちはLINEを中核としながら、ユーザーの生活の全領域にサービスを拡充することをめざしてきました。

 今回の経営統合により、これまでLINEがあまり展開できていなかった領域、たとえば物販eコマースであったり、今後さらに伸ばしていくべきフィンテックなどのサービスを強化することができます。さらに両社の技術陣が結集することで、ユーザーにより高いベネフィットを提供していくためのAIやデータ解析のテクノロジーも格段に強化されるでしょう。両社は、サービスや技術の面で相互補完できる部分が多く、これからさまざまな分野でシナジーを発揮できるはずです。それによって世界で戦える企業に必ず進化していける、そう私は確信しています。

Zホールディングスがめざす未来

オンラインとオフラインの垣根を超えた新サービスを。

 経営統合後、私たちがぜひ開拓したいと考えているのは、インターネットや情報技術がまだ「便利にしきれていない領域」です。それは「オンライン」と「オフライン」の間に垣根があり、互いがうまく溶け合っていないペインポイント(=満たされていないユーザーニーズ)と言えるでしょう。

 たとえば、日本ではいまだに多くのシーンで現金決済が一般的です。ヘルスケア領域も、諸外国に比べると、デジタルテクノロジーの取り込みが遅れています。行政も明らかにDX化が進んでいません。ほかにもeコマースやフードデリバリーなど、オンラインとオフラインが混じり合う領域で、まだまだ「便利になりきっていない」、すなわち「もっともっと便利にできる」ことが数多くあります。統合後の私たちは既存ビジネスの強化と同時に、そうした領域への挑戦を、スピード感をもって進めていこうと思います。

 そのためにまず重要なのは、コミュニケーションです。互いに腹を割って、すべてを語り尽くすことの大切さは両社とも深く認識しています。コロナ禍ではオンライン会議が中心となりますが、むしろリアルで会っていたときよりもディスカッションの頻度が上がり、コミュニケーションの密度も高まっています。経営層同士だけでなく、多くの事業部門や階層間で頻繁に会議が開かれ、真剣な議論が交わされることで、相互理解がどんどん深まっていることを実感しています。

 世の中に役立つことをしたい、社会を良くしていきたい――その志は両社共通です。だからこそ今回の統合は実現したのです。しっかりと議論を尽くしたうえで、「過去ではなく未来を基準に物事を考えていこう」というのも、両社の経営陣の一致した考えです。その成果はすぐに出てくるでしょう。今までにない「WOW」を世の中にどんどん提供していきます。ぜひ、ご期待ください。