INTEGRATED REPORT PORTAL

更新日:2020/09/28

成長戦略の概要と進捗

「日本の利用者を最も理解する国産プラットフォーマー」に向けて

当社グループは創業以来、「ユーザーファースト」を信念としてサービスを展開してきました。規模や組織が変化したいまも、サービスの利便性をさらに高め、人々の生活を豊かにしていきたいという想いは変わりません。その実現にはユーザーへのより多角的かつ深い理解が不可欠との考えから、「データの蓄積・活用を通じて利用者を最も理解する存在」、ひいては「日本の利用者を最も理解する国産プラットフォーマー」となるべく取り組んでいます。

また、近年、米国や中国を代表する巨大IT企業が日本でも急速に存在感を強めています。「このままでは将来、日本のインターネット企業の多くはこの勢いに埋没してしまうのでは」という危機感のもと、以下のような取り組みを通じて、より強固かつ柔軟な組織基盤を構築し、自分たちの手で未来を力強く創造していきたいと考えています。

中長期的な成長戦略

オンラインとオフラインのデータ統合による価値創造で、収益の拡大・多層化、売上収益の2桁成長へ

当社グループは、中長期の目標として、2023年度に過去最高益を実現することを掲げています。その前提となるのが、オンラインとオフラインのデータ統合です。

当社グループの強みの1つは、検索・メディア・コマース・決済など多岐にわたるサービスを一貫して提供できることです。加えて、2018年度から提供を開始したPayPayの利用基盤拡大に伴い、ユーザーの同意を得たうえで、オフラインでの行動もYahoo! JAPAN IDを通じて把握できる体制が整いつつあります。オンラインとオフラインの垣根を超えてユーザーの嗜好やアクションを把握・分析し、利便性を高めるサービスを提供することで、ユーザーニーズに的確に応え、収益の拡大と多層化を図ります。

今後も情報技術の力を活用して当社グループにしか創れない未来を創り、人々の生活を便利にすることで、生活のあらゆる面において必要不可欠な存在となることを目指します。

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中長期的な成長戦略2
新たな価値創造によるマネタイズ
  • 統合マーケティングソリューション
  • データソリューション
  • PayPayを活用したeコマース
  • シナリオ金融

2019年度の総括

組織再編によりポートフォリオ経営の土台を構築するとともに、ユーザー情報の横断的把握に基づく新サービスの提案にも注力

2019年度は、将来のさらなる成長に向けた組織再編を相次いで実施しました。まず、2019年6月をもって親会社がソフトバンク(株)に移行。次いで10月には社名をZホールディングス株式会社に変更し、持株会社体制へ移行しました。さらに11月には(株)ZOZOを連結子会社化し、LINE(株)との経営統合も発表しました。

これらの取り組みを土台として、今後はポートフォリオ経営を推進していきます。グループ内の企業・サービスを多角化することは、外部環境に変化があった際、全社としての影響を軽減することにつながります。

加えて、各サービスから得られるユーザー情報を統合し、ユーザーアクションの横断的な把握を図っていきます。これはマーケティングにおけるパーソナライズ※の精度向上につながるもので、他社には模倣が困難な当社グループ独自の強みです。独自性の高いサービスを新たに創出する原動力のひとつにもなり得ます。一例として、2019年度から、新たに4つのソリューションをスタートさせました。

※個々のユーザーの属性や行動履歴に基づいて、最適のサービス・コンテンツを提供するマーケティング手法

価値創造プロセス

メディア:統合マーケティングソリューションの推進

統合マーケティングソリューションは、将来的な広告売上の拡大に向けた新しい取り組みです。Yahoo! JAPAN IDを通じてユーザーのオンライン・オフラインの消費行動を総合的に把握することにより、ユーザーを対象とする広告効果の可視化・最大化を目指します。2019年度にはPayPayで取得したオフラインの購買データを活用するサービス「PayPayコンシューマーギフト」「PayPayリテールギフト」をローンチし、消費財メーカー・小売チェーン店などとともに、サービスの展開を開始しました。

2020年度はこれらサービスの利便性などを向上するとともに、新たなサービスの開発にも取り組んでいきます。また、さらなる販路拡大に向けて、代理店を活用した販売網の形成、認知度の向上にも努めていきます。

マーケティングフロー

コマース:eコマース取扱高の拡大に向けた取り組み

当社グループでは、コマース事業の物販領域において、2020年代前半に取扱高で国内No.1になることを目標に掲げています。2019年度はその実現に向けて、大きく2つの施策を実施しました。

1つ目は、2019年11月に(株)ZOZOを連結子会社化したことです。これにより、ファッション領域の強化に留まらず、さまざまな事業領域でのシナジー創出を図っていきます。すでに、2019年12月に「PayPayモール」へZOZOTOWNが出店し、当社と(株)ZOZOの両社にとっての新規顧客獲得につながっています。

2つ目の取り組みとして、2020年3月には、ヤマトホールディングス(株)との業務提携を発表しました。これに基づき、6月から「PayPayモール」「Yahoo!ショッピング」出店ストア向けの新たな物流サービスの提供を開始しています。さらに2020年3月に、eコマース新戦略に基づく施策の一環として、ショッピングシステム「XS(クロスショッピング)エンジン」の提供開始を発表しました。このシステムは、「PayPayモール」における実店舗との在庫連携機能に加え、「PayPayモール」や「Yahoo!ショッピング」で利用している検索や決済などの機能を備えており、各サービスへの出店者の利便性を向上します。「売り手」と「買い手」の双方に便利で快適な環境を整備することで、グループ全体のコマース事業の大きな飛躍を実現させるべく取り組んでいます。

Fintech:PayPayの拡大とシナリオ金融サービスの展開

中長期的に金融事業を広告、コマースに次ぐ第3の収益の柱とするため、基盤となるPayPayの利用拡大と、シナリオ金融サービスを展開していきます。

2019年度にはPayPayの利用が大きく拡大し、確固たる地位を築くことができました。引き続き決済回数の最大化に向けて加盟店数・登録者数の拡大に取り組むとともに、2020年度以降は、金融サービス事業の展開によるマネタイズの早期化にも取り組みます。

さらに、各金融機関と提携して新たな金融サービスを検討し、PayPayアプリ上で展開していきます。PayPayを決済に関するさまざまな行動の起点となる「スーパーアプリ」とすることを目指し、ソフトバンクビジョンファンドの出資先関連企業である中国のアリペイ、インドのpaytmといった先行事例を参考に、最高のユーザー体験を提供すべく機能拡充に取り組んでいきます。

また、2020年度に新たに開始した取り組みの1つがシナリオ金融です。自動車購入における分割払いなど、金融サービスの成約率には、提供する場面・シナリオが影響を与えます。当社グループの強みはメディア、eコマース、O2O、決済など、ユーザーがアクション・コンバージョンする場をオンライン・オフライン問わず数多く提供している点です。各サービスにおいて、シンプルなUI・UXで、ユーザーアクションに寄りそう金融商品を提供し、収益拡大を目指します。すでに「ヤフオク!」で中古商品購入時に修理保険を提供する取り組みを開始しており、今後は旅行・飲食予約におけるキャンセル保険など、提供商品の拡充を進めていきます。

PayPay決済の拡大1
PayPay決済の拡大2
シナリオに沿った金融商品の提供

データソリューション:ビッグデータを課題解決につなげるサービスを提供

2019年10月、ヤフーの多様なサービスから得られるビッグデータを活用し、企業や自治体向けに事業の創造や成長支援、課題解決などにつなげるインサイトを提供するデータソリューションサービスの提供を開始しました。現在提供している主な商品は以下の通りです。

・「DS.INSIGHT」:ヤフーの行動ビッグデータを調査・分析できるデスクリサーチツール
・「DS.INSIGHT for Partner」:広告代理店やコンサルティング会社などのパートナー企業が、「DS.INSIGHT」を顧客企業の施策検討、提案などに活用できる商品
・「DS.ANALYSIS」:企業・自治体の要望に応じて「DS.INSIGHT」では提供していないビッグデータも含めた分析結果や、活用支援のためのコンサルティングを提供する商品

また、新型コロナウイルス感染症対策への活用を目的に、全国の都道府県および政令指定都市へ2021年3月末までの期間限定で「DS.INSIGHT」を無償提供しています。外出自粛要請の効果分析や住民のニーズ把握などに活用してもらい、データ活用の有用性や本サービスの認知度拡大につなげていきます。

データソリューション

データ活用の考え方

“データドリブンカンパニー”を標榜する企業として、データ活用により得られた知見を積極的に社会還元

情報技術の力を活用して人々の可能性を切り開く。その基盤となるのが、蓄積されたデータを活用する技術やノウハウです。日本政府が未来社会の目指す姿として提唱する「Society5.0」では、IoT(Internet of Things)で人とモノがつながり、さまざまな知識や情報が共有され、今までにない新たな価値が生み出される社会が描かれています。当社グループでは、個人情報などの取扱いには十分配慮したうえで、データから得られる知見を社会全体に向けて還元していきます。

データプライバシーの概要

適切なデータ活用・保護体制を構築

多様なデータを取り扱う当社にとって、最も大切な基本姿勢はプライバシーの尊重です。プライバシーポリシー保護とサイバーセキュリティ強化の重要性は、当社グループが提供するすべてのサービスに通じます。当社グループは、サービス利用から生まれたデータはユーザーのものであることを認識し、ユーザーのプライバシー尊重および保護を必須の義務と位置付けています。

この考えに基づき、IT関連団体の連合体である日本IT団体連盟(IT連)が2019年11月に設立した「サイバーセキュリティ委員会」に設立当初から参画。また当社社内においても、2020年2月にサイバーセキュリティ基本方針などを検討する「サイバーセキュリティ分科会」を設置、5月には独立した立場でデータ保護を監督するデータ保護責任者(Data Protection officer)を任命しました。今後はデータ保護責任者が、データの保護についての助言や、活用方法の監視等を行い、適切なデータ活用を進めていきます。

これらの取り組みを通じて、ユーザーの皆様に当社グループに安心してデータを預けていただき、さまざまな利便性を享受できる世界の実現のために尽力していきます。

データ活用により人々の生活を豊かに

新型コロナウイルスの感染防止に貢献するサービス・情報を提供

当社グループでは蓄積したデータを活用し、人々にさまざまな行動を促す取り組みを進めています。例えば、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大を受けて、ウイルスに関する正確な情報を伝えるとともに、データの活用を通じて感染拡大防止の一助となるべく取り組んできました。

例えば、2020年1月に提供終了していた「Yahoo! MAP」アプリの「混雑レーダー」機能を4月から提供再開しました。これと「Yahoo!乗換案内」の駅混雑予測機能を併用すれば、商業施設や駅の混雑状況を確認し、予め混雑を避けて行動することが可能となります。これらはいずれも、当社グループが保有する「ユーザーの位置情報」を活用した機能です。このように、保有するユーザーデータを各サービスで活用することで、人々の抱える課題を解決し、より生活を便利にできると考えています。

新型コロナウイルスの感染防止に貢献するサービス・情報を提供

2020年度方針

2019年度に蒔いた種を育てる1年に

2019年度は未来創造に向けた種を蒔き、事業拡大に備えた1年でした。2020年度は、これらを形にする1年として位置付けています。特に、次の3つの施策に注力していきます。

1つ目はLINE(株)との経営統合の実現です。当社グループが保有する複数の事業においてシナジー創出が期待できることから、さらに多くの方の生活を豊かにできると確信しています。

2つ目は「シナリオ金融」の本格展開です。金融事業を第三の収益の柱に成長させるべく、この取り組みを力強く推進していきます。

そして3つ目は統合マーケティングソリューションのさらなる拡大です。当社のグループアセットを活用したこのソリューションの利便性をさらに向上し、競合にとって模倣困難なサービスを提供していきます。

今後も、当社グループにしか創れない大きな未来を創造すべく邁進していきます。

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