INTEGRATED REPORT PORTAL

更新日:2021/10/25

成長戦略

世界に類を見ない多様なアセットを活用し、
日本・アジア発のメガプラットフォーマーへ。

ヤフーが設立された1996年以降、“ユーザーファースト”を重要な価値観の1つとし、「UPDATE THE WORLD」をミッションとしてサービスを展開してきたZホールディングスグループは、2021年3月に「LINE」と経営統合し、国内総利用者数が延べ3億人超にのぼる国内最大規模のインターネットサービス企業グループとなりました。これによって日本のほぼすべてのインターネットユーザーにリーチできるようになりました。

この巨大なユーザー基盤を強みに、圧倒的なプレゼンスを誇るヤフーやLINEのSNS事業、PayPayの決済事業、さらには、NAVERのAI技術、ソフトバンクの通信など、約200を超える多彩なサービスを、200を超える国・地域に提供しています。メディアから通信までを網羅する世界で類を見ない多様なアセットを持つことは私たちの価値創造の源泉であり、当社グループにしかつくれない独自のサービスを創出しています。

今後は各サービスの連携を高めることで独自の経済圏を実現し、GAFAM(※1)やBATH(※2)に対抗する“第三極のメガプラットフォーマー”として社会に新たな価値を創出していきます。

※1 Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの5社。
※2 Baidu、Alibaba、Tencent、Huaweiの4社。

世界に類を見ない多様なアセットを活用し、日本・アジア発のメガプラットフォーマーへ。

KPIの策定

中長期におけるトップラインの成長目標を設定

当社グループは、中長期の目標として「2023年度に過去最高益、営業利益2,250億円の達成」を掲げてきました。しかし近年、M&Aや設備投資などが増加しており、これらに関連した会計上の処理に伴う影響や戦略投資による効果も勘案したキャッシュベースでの評価をしやすくするために、利益面でのKPIを調整後EBITDAに変更しました。

新しい中期経営指標では「2023年度に売上収益2兆円、調整後EBITDA 3,900億円の達成(従来の営業利益目標2,250億円に相当)」を掲げました。これは、LINEとの経営統合によって見込まれる増益分を大胆な戦略投資に回してもなお、この利益目標を達成するという固い決意を示しています。利益目標の達成とともに、中長期成長を加速するための投資を実施することで、この経営統合がなければ達成できないような大きな成長の実現を目指します。

なお、2021年4月から始まる年度から事業区分を再整理し、3つの事業区分「メディア事業」「コマース事業」「戦略事業」に変更しています。

image01

投資戦略

「3 つの起点」を軸に大胆に戦略投資し、飛躍的な事業成長を目指す

LINEの統合によって、当社グループは「情報と人をつなぐ(Yahoo! JAPAN)」「人と人をつなぐ(LINE)」「人と決済をつなぐ(PayPay)」という“3つの起点”を所有することになりました。これらは国内のインターネットユーザーの大半に浸透しているため、今後はユーザー同意を前提にIDや会員プログラムを連携させ、そこから得られるデータをAIで解析し、一人ひとりに最適なサービスを提供することで、競合他社との差別化を図っていきます。

そのためには、技術や人材の強化が不可欠です。そこで5年間で累計約5,000億円の戦略投資を実行していきます。この戦略投資を通じてエンジニアを中心とした人材採用の強化や広告プラットフォームの統合、新サービスの開発・顧客基盤の拡大などを加速させ、グループアセットを活用した当社グループ独自の価値・サービスを提供することで、さらなる事業成長を目指します。

さらに、グローバルな事業展開についても、LINEがタイや台湾、インドネシアなどで構築してきた海外基盤を活用しながら強力に推進していきます。

また、事業を拡張させていく一方で、データセンターでの使用電力を再生可能エネルギー由来電力に切り替えていくなど、事業活動を通じた環境負荷を低減させていくためのさまざまな施策を進めていきます。

事業・サービスの成長方針

事業・サービスの成長方針

メディア事業の戦略

グループアセットを活用した1:1マーケティング実現により、ターゲット市場を拡大

日本のインターネット広告の成長率は毎年2桁の高成長が続いており、2019年には初めてテレビ広告費を抜きました。新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に成長は鈍化しましたが、今後、広告のデジタル化が進んでいくことは間違いありません。

私たちの強みは、ユニークで多様なアセットを所有していることです。これらを最大限に活用し、競合他社には真似のできない新たなマーケティングソリューション――例えば、認知・興味・関心といった新規顧客獲得のためのファネルだけでなく、購入・優良顧客化のためのファネルまで一貫して支援できるソリューションを実現していきます。今後は、PayPayを活用した決済に関するデータの蓄積やLINEを活用したCRMなど、消費者に購入やリピートなどの行動を促すことで、顧客の定着につながるソリューションを提供していきます。

短期的にはグループ間での広告の相互配信やID連携によるデータの利活用を通じて広告の最適化や配信精度の向上を実現することで、広告単価を高めていきます。また、中長期的にはレポートや広告配信システムを統合し、ビジネスシナジー・コストシナジー両方の実現に向けた施策に取り組みます。これらによって、既存広告の売上の最大化と販促・CRM商材の新たな市場へのアプローチを実現し、TAM(Total Addressable Market)の拡大による広告売上収益の年率2桁成長を目指します。

メディア事業の戦略

ヤフーとLINEで生み出す新たなマーケティングソリューション

ヤフーとLINEで生み出す新たなマーケティングソリューション

コマース事業の戦略

オンライン/オフラインを横断し、
取扱高の最大化を追求

物販のeコマースは年々市場規模が拡大しており、コロナ禍によってさらにすそ野が拡がっています。一方、日本では未だオフラインの購入が大半を占めており、諸外国と比べても日本のeコマース化率は高くないことから、eコマースの利用にはさらなる拡大の余地があります。そこでヤフーでは実店舗の在庫をオンラインで購入できる「X(クロス)ショッピング」を開始するとともに、実店舗の購入についてユーザーごとに商品価格を変動する「My Price構想(ダイナミックプライシング)」を実装する予定です。

また、ロイヤリティプログラムをLINEのサービスにも拡大し、グループ横断的な経済圏を構築していきます。将来的には、共同購入やソーシャルギフト、ライブコマースなど、コミュニケーションを軸とした新たなショッピング体験が当たり前になる世界を私たちが率先して実現していきます。また、O2O事業ではグループサービスの幅広い客層とLINE公式アカウントを活用し、集客・予約の強化を図り、「トラベル」「飲食」「デリバリー」の3つの領域でサービス取扱高を拡大していきます。

もう1つ、重要なのが「物流」と「配送」です。ZOZOやアスクルなどの倉庫や配送に加えて、パートナーの資産——例えば、2020年3月に提携を発表したヤマトホールディングス(株)のアセットを活用し配送品質を向上させることで、ユーザー体験の持続的な向上を目指します。また、前述の通りXショッピングを拡大することで、オンラインで購入した商品をオフラインで受け取れるようにするなどの選択肢をユーザーに提供することでラストワンマイルのサービス品質の改善に努めていきます。加えて、2021年7月からアスクルと出前館の資産も活用した「即配サービス」の実証実験を開始しました。ラストワンマイルの即時配送ニーズを把握することで、今後の事業展開を検討していきます。

当社グループは、こうした施策を通じて2020年代前半においてeコマースの物販取扱高No.1を目指します。

コマース事業の戦略

戦略の全体像

戦略の全体像

戦略事業

Fintech領域を中心に、新たな収益の柱を創出

日本の決済市場においてキャッシュレス比率は3割に満たず、QRコード 決済市場はそのうちのわずかに過ぎません。日本政府は消費者の利便性の向上や店舗の売上拡大のために、国内のキャッシュレス比率を「2025年までに40%、将来的には世界最高水準の80%を目指す」ことを掲げています。

当社グループは、Fintech領域における決済を起点に、事業領域をあらゆる金融サービスに広げていくことでマネタイズを本格化していきます。とくに国内で最も浸透しているスマホ決済手段であるPayPayの顧客基盤を活用し、日本のキャッシュレス市場拡大を強力に推進していきます。

また、決済と親和性の高い「借りる」「増やす」「備える」という金融サービス市場も取り込んでいきます。金融サービスについては、PayPay銀行は三井住友フィナンシャルグループと、LINEバンク設立準備会社はみずほフィナンシャルグループと提携するなど、グループに限らない マルチパートナーで進めていきます 。

加えて、ヘルスケア分野ではLINEヘルスケア社の「LINEドクター」によって、いつでもLINE上からオンライン診療を受けられるプラットフォームを提供しています。現在、クリニックの検索から予約、診療、決済までをスマホ一つで完結できる環境を構築していますが、今後はオンライン上での服薬指導も開始し、その後の健康管理に至るまでスマホ一つで完結できるような世界を実現していきたいと考えています。

戦略事業

メディア、コマースに次ぐ第3、第4の収益の柱を創出

メディア、コマースに次ぐ第3、第4の収益の柱を創出

非財務資本の戦略

成長を支える「技術」と「人材」を強化

ユーザー一人ひとりにとっての圧倒的な利便性や使い勝手を実現するとともに、各事業の収益性を向上させるため、当社グループはメディア、コマース、Fintechなど、グループが展開する多彩な事業領域すべてにおいてAI化を推進していきます。そのために、AIを中心に5年間で5,000億円の投資を計画するとともに、AI活用に携わる国内外のエンジニアについて、5年間で5,000名の増員を計画しています。

しかし、経済産業省の発表によると国内で不足するAI人材は2025年には8.8万人、2030年には12.4万人にまで拡大すると試算されています。そこでZホールディングスは、従来から実施している国内外からの人材獲得強化に加え、社内での人材育成の強化やグループ内で活躍しているAI人材同士でノウハウなどの情報交換の場を設けています。また、企業内大学「Zアカデミア」のなかにグループ企業横断でAI人材を育成するコミュニティ「Z AIアカデミア」を立ち上げ、研究者やエンジニアのみならずAIの知見が有益となる幅広い職種の育成に着手しています。

このように私たちはグループ全体のAIに関するナレッジ・実践力を底上げしながら、AI人材不足という社会課題とも向き合い、「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー」の実現を目指していきます。

非財務資本の戦略

気候変動対応

データセンターの100%再エネルギー化を目指す

日本政府が「2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言するなど、気候変動問題が深刻化しています。当社グループの中核企業であるヤフーは、事業活動で利用する電力のうち95%がデータセンターで利用されています。そこで2023年度中にデータセンターなど事業活動で利用する電力の100%再生可能エネルギー化の早期実現を目指す「2023年度 100%再エネチャレンジ」を宣言しました。多くの企業が2040年、2050年という中長期での達成目標を掲げるなか、ヤフーは約3年という短期間での目標達成を掲げました。

また、ヤフーは福岡県や福島県のデータセンターで最新技術を活用した温暖化対策を実施しているほか、米国のデータセンターで約1,600ラック規模の供給電力をほぼ100%再生可能エネルギー(水力発電)で賄うなど、積極的に気候変動問題への取り組みを進めています。こうした取り組みは、環境負荷を下げるだけでなく効率的なデータセンター運営にもつながり、コスト面でのメリットも生まれています。今後はLINE社をはじめ、グループ全体へと広げていく計画です。

さらに、当社グループでも事業活動で利用する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際イニシアチブ「RE100」の早期加盟を目指し、100%再生可能エネルギー化の実現に向け、2021年度中にグループとしての中長期目標を発表する予定です。

気候変動対応