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更新日:2020/09/28

CFOメッセージ

常務執行役員 
GCFO(最高財務責任者) 坂上 亮介

財務規律を守りながら
未来に向けた成長投資を推進し、
持続的な成長を実現する

常務執行役員
GCFO(最高財務責任者)

坂上 亮介

CFOの使命

適切なリスクコントロールで
グループの戦略推進を支えていきます

CFOの役割は、グループの持続的な成長に向けて主に財務面から戦略推進を支えていくことです。現在の当社グループは「第三の創業期」という先行投資フェーズにあり、財務規律・投資規律を維持しながら、さまざまな成長機会を積極的に獲得していくことが自らの使命であると認識しています。

2023年度に過去最高益となる営業利益2,250億円を達成するという目標に向けて、当社グループの収益は着実に拡大しています。2018年に立ち上げたPayPay(株)の順調な進展、2019年秋に実施した(株)ZOZOの買収、そして2021年3月に予定しているLINE(株)との経営統合によって、当社グループは「メディア」「検索」から「ネット&リアルの物販」「決済」「金融」「SNS」までを包含する、世界を見渡しても類を見ない多彩なアセットを保有する企業グループに進化しつつあります。今後は、さまざまな事業間のシナジーをさらに追求し、グループとしての強みをさらに進化させていくことで、それぞれの領域で「アジアナンバーワン」を目指していきます。

CFOの使命

2019年度の総括

売上収益が初めて1兆円を超え
営業利益も3年ぶりに増益となりました

2019年度の連結業績は、売上収益が1兆529億円(前年度比10.3%増)と増収し、初めて1兆円を超えました。営業利益も1,522億円(同8.4%増)となり、増益を確保しながら中長期の収益構造の転換を見据えて、組織再編や新サービスの立ち上げなどに注力した一年でした。

特にコマース事業では、最重視するEC物販分野において、「PayPayモール」を2019年秋にオープンしたことに加えて、2019年末に実施した(株)ZOZOの買収によって取扱高が前年度比で2,700億円(前年度比14.4%)増加しました。

グループが総力を挙げて推進しているPayPay事業も、順調に進展しました。2018年10月の立ち上げから3年間は先行投資期間と位置付けてユーザー拡大・決済回数の増大に注力してきましたが、2020年6月末時点でユーザーが約3,000万人、使用可能な店舗も全国230万店にまで広がっています。PayPay(株)が2020年5月に実施した自社調査では、「キャッシュレス」という言葉で想起される支払い方法の第1位になっており、ブランドも着実に浸透しています。立ち上げ直後は認知度拡大のため、マス・マーケティングに大きなコストをかけましたが、2019年度は、場所、店舗、時間などを限定したキャンペーンによって投資コストを抑えながらユーザー層の拡大とリテンション率の向上を進めてきました。消費者の購買行動を可視化する「PayPay」の普及によって、当社グループが目指す「統合マーケティング・ソリューション」の重要な基盤の一つに成長しつつあり、金融事業を中心としたマネタイズ戦略を当初予定より数年前倒しで強力に進めていく方針です。

またメディア事業も、第1四半期にアンチトラッキングの影響があり、第4四半期にはコロナ禍の影響を受けたものの、広告売上収益が増加して営業利益は前年度比9.5%増となり、3年ぶりに増益を達成することができました。

2019年度の総括

成長投資とPMI

買収先とのコミュニケーションを深化させ
シナジー創出を追求していきます

新規事業に対する成長投資は、明確な判断基準のもとに実行しています。例えばM&Aの実施にあたっては、3つの具体的な判断基準を設定しています。第1に「その企業が展開する事業が当社グループの成長戦略に沿っていること」、第2に「その事業領域においてナンバーワン、もしくはオンリーワンの存在であること」、そして第3に「当社の連結対象にできること」です。これらの基準を満たした上で「IRR(内部収益率)10%以上」を数値的な判断の指標としてM&Aを実施しています。

ただし、M&A投資をグループとしてのシナジーの発揮や利益拡大につなげていくためには、投資先企業をグループに加えた後のPMIが重要です。私は、PMIを成功させるためには「コミュニケーション」がすべてだと考えています。まずは互いが目指す戦略や、互いの役割分担を理解することが重要であり、ステアリングコミッティを設置して経営状況の報告を頻繁に実施するなど、相互コミュニケーションの機会を増やしています。

ワイジェイカード(株)や(株)一休は、こうしたコミュニケーションを重視したPMIが非常にうまくいっている例であり、2社は現在グループの戦略上の重要な役割を担う存在となっています。また、現在の当社グループ経営の中枢を担うメンバーの多くが買収先企業の創業者です。そのような成功体験を今後の(株)ZOZOやLINE(株)のPMIにも活かしていきたいと考えています。

資源配分と今後の成長投資

戦略領域への人材・マーケティング投資と
ICT投資を強化していきます

今後の投資戦略において中心となるのは「統合マーケティングソリューション」と「シナリオ金融」です。この2つの領域に優先的に資源を配分していきますが、2領域を強化する上での基盤となる「EC物販領域」への投資も継続していきます。

短期的には、これらの事業領域で新しいサービスを開発するための人材投資と、プロモーションのためのマーケティング投資に注力していく方針です。また、より中長期の視点では、LINE(株)との経営統合も控える中、AIをはじめとするICT投資にも、これまで以上に経営資源を配分していくべきだと考えています。2019年度の投資キャッシュ・フローにおける有形・無形資産への投資額は、およそ800億円でしたが、2020年度からはこれを年間1,000億円程度の水準に引き上げていく予定です。

また、地域としては、LINE(株)が高いシェアを持つ台湾やタイ、インドネシアといったアジア地域を重視しています。LINE(株)との統合後、将来的にはそのユーザー基盤を活用して、「課題解決先進国」の日本で成功したサービスをアジア地域に展開していく方針です。

財務規律の維持

EBITDA有利子負債倍率2.5~3倍を目安に
バランスシート管理を徹底しています

2018年に私がCFO就任した当時、当社は約3,000億円の余剰資金を保有するキャッシュリッチな会社でした。「第三の創業期」を開始するにあたり、株主の皆さまにこれまで蓄積した利益を還元するために、2年間トータルで2,900億円の自社株取得を実施してきました。その結果、ネットキャッシュはほぼフラットな水準になりました。

そして、引き続き成長していくには、積極的な成長投資が必要です。2019年度の(株)ZOZOに対するM&A投資約4,000億円のほかに、成長フェーズにあるカード事業やEC物販事業などにも資金を投下してきました。これによって有利子負債が増加しましたが、現状のネットレバレッジレシオは2.1倍と、格付けを維持できる適正水準にあると認識しています。今回のコロナ禍のような非常事態にも資金調達が行えるように格付JCR AA-、R&I A+を維持すべく、今後もEBITDA有利子負債倍率を2.5~3倍の範囲に保つようバランスシートを管理していきます。また、引き続きフリーキャッシュ・フローやキャッシュコンバージョンサイクルを重視したキャッシュ・フロー管理に努めていきます。

なお当社は、2019年度決算から調整後フリーキャッシュ・フローを開示しています。将来に向けた先行投資を行っているためフリーキャッシュ・フローはマイナスですが、2020年度以降はプラス転換を目指していきます。カード事業のように運転資金が先行するビジネスもあることから、債権の流動化を進め資金効率を改善していきます。

有利子負債・純有利子負債/ネットレバレッジレシオ

資本効率の向上

シナジーの追求による利益を最大化し
資本効率を高めていきます

2019年度に実施した(株)ZOZO買収の資金約4,000億円は、資本効率の観点からブリッジローンで調達しましたが、2020年6月にこのうち2,000億円を社債に切り替え、直間比率と資本コストを改善しました。また、買収に伴い、のれんを約2,129億円、無形資産約5,021億円計上したため、今後はシナジーの創出に注力していきます。なお、当社はIFRSを採用しており、CGU(資金生成単位)グループ単位であるショッピンググループ全体で減損判定するため、同社の株価低迷のみにより減損損失を計上することはありません。
一方、LINE(株)との経営統合については、事業領域の重なりが大きく、事業の統廃合を含めたシナジー創出が必要です。1つの事業に特化した(株)ZOZOのような株式を取得した上で上場を維持し、外部株主の意見も取り入れて事業を成長させる形ではなく、持株会社下での非上場化、対等な経営統合を選択しました。これに要する資金は、LINE(株)の時価総額などを考えて、新株発行で調達することとしました。これによって自己資本比率が高まる一方、一時的にROEは低下しますが、経営統合によるシナジーを発揮し、収益が拡大していけばROEも自ずと改善していくはずです。それまでには数年の時間がかかるとは思いますが、当社グループの成長にとって非常に重要な施策であり、株主の皆さまにはご理解願いたいと存じます。

株主還元

持続的な成長を通して
株式トータルリターンの向上に努めます

当社グループは、中長期的な視点で企業価値を持続的に向上させていくために、将来の成長を見据えた積極的な先行投資を重視しています。同時に、株主の皆さまへの利益還元は上場会社としての責務であると認識しており、配当と自社株取得による直接的な利益還元と、中長期的な株価上昇による投資リターンを合わせた「株式トータルリターンの向上」を目指しています。
上記方針に基づいて、2019年度は1株当たり8.86円(配当金総額421億円)の配当を実施いたしました。また、自社株取得については、市場環境を踏まえて今後も機動的に実施していく方針です。
2020年度内に予定しているLINE(株)との経営統合により、私たちは世界に類を見ない高いオリジナリティを持った、オンリーワンのインターネット企業グループへと進化を遂げます。この強みを最大化していくために、今後も財務規律を維持しながら成長投資を実行し、ミッションである「情報技術(のチカラ)で、すべての人に無限の可能性を。」を、しっかりと果たすことで持続的な成長を実現していきたいと考えています。

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