INTEGRATED REPORT PORTAL

更新日:2020/09/28

CEOメッセージ

代表取締役社長 
社長執行役員 最高経営責任者(CEO) 川邊 健太郎

次なる未来創造に向けて
挑戦を続けていく
という決意を込めて

代表取締役社長
社長執行役員 最高経営責任者(CEO)

川邊 健太郎

Profile

  1. 1995 年 (有)電脳隊設立
  2. 1999 年 ピー・アイ・エム(株)設立
  3. 2000 年 当社入社/「Yahoo!モバイル」担当プロデューサー
  4. 2007 年 「Yahoo!ニュース」プロデューサー
  5. 2009 年 (株)GYAO代表取締役就任
  6. 2012 年 当社副社長 最高執行責任者(COO)就任
  7. 2018 年 当社代表取締役社長 CEO就任

コロナ禍への対応

求められる社会的使命を果たすべく
社員の健康・安全の確保に努めました

はじめに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々とご遺族の皆様に謹んで哀悼の意を表すとともに、罹患されている方々や、困難な状況におられる皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、感染拡大の防止に取り組まれている政府、自治体の皆様、感染者の治療に日夜尽力されている医療関係の皆様、そして私たちの生活を支えてくださっているエッセンシャルワーカーの皆様に深く敬意を表します。

現在も続くコロナ禍の中で、私は当社グループの社会的使命と存在意義を改めて深く認識しています。Yahoo! JAPANをはじめとする当社グループの多様なサービスは、コロナに関して正しい情報を知りたい、最新の情報を得たいと望む多くのユーザーに貢献しています。一方で私たちは、プライバシーや情報セキュリティに最大限配慮しつつ、保有データを日本政府に提供して感染拡大の防止にも貢献しています。これまでも大地震や台風など大規模な災害の発生時にはアクセス数の急増を経験してきており、今回のコロナ禍においても発生当初から日本最大のインターネットプラットフォーマーとして社会から求められる役割をしっかり果たしていかねばならないという使命感を強く持っていました。

そこで何よりも重要だったのは「社員を守る」ことでした。社員やその家族がコロナに感染し、健康を損なうことでサービスが提供できなくなる事態は、何としても避けねばならない──その強い思いから、日本へのコロナ上陸直後の1月最終週段階で、ヤフーでは感染状況のレベルに応じた出勤体系をいち早く決めました。もともとヤフーには「どこでもオフィス」というリモートワークの仕組みがあり、当時数ヶ月後に予定されていた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催期間は、これを使って全社員がリモートで業務をこなす予定でした。その構想を前倒しで活用し、2月半ばからは大部分の社員を在宅勤務とし、やむなく出社する場合も満員電車を避けて出勤時間をずらすよう指示をしました。この結果、セキュリティの業務などを除いた95%の社員が、安全な場所で業務を行うリモートワーク化が実現し、刻々と変わる感染状況に応じて「必要とされる情報」のタイムリーな提供が可能になりました。

今回のコロナ禍によって、医療や教育をはじめ「対面」を前提とした産業や行政サービスにおけるデジタル化の遅れが露呈しています。新たな感染拡大が懸念される中、そうした分野でのデジタルトランスフォーメーション(DX)を早急に推進することは国全体の喫緊の課題であり、日本に根を張るプラットフォーマーとして、そこに積極的な提案を行っていくことも、自分たちの重要な使命であると私は考えています。

創業時から培ってきた当社グループのUI(ユーザーインターフェース)、ユーザー体験(UX)に関する知見やノウハウは、さまざまな領域でのDX推進にきっと生かせるはずです。特に来年3月に経営統合を予定しているLINE(株)は、行政へのサービス提供の面で先行しており、同社との連携を強めることで日本社会のDX推進にさらに貢献していきたいと思います。

コロナ禍への対応

2019年度の振り返りと2020年度の指針

激動の1年間のなかで
未来創造を大きく進めることができました

2019年度のグループ連結売上収益は前年比10.3%増の1兆529億円、営業利益は同8.4%増の1,522億円、EBITDAは同18%増の2,356億円と、いずれも期初の目標を大きく上回る業績結果となりました。

持株会社制への移行によるグループ再編、統合マーケティングソリューションの立ち上げ、(株)ZOZOの買収、スマホ決済サービス「PayPay」の飛躍的拡大、さらには第4四半期に発生した新型コロナウイルスの感染拡大など、2019年度は当社グループの二十数年の歴史においても類を見ないほどの激動の年でしたが、総体としては、めざす「未来創造」を大きく推し進めることのできた1年間だったと評価しています。コロナの影響についても、第4四半期の広告関連売上収益が前年比9%増の930億円、eコマースの取扱高も前年比27.6%増の6,111億円と伸びたことにも示されるように、業績にプラスに作用した面も少なからずあったと捉えています。

2020年度については、まず買収後の(株)ZOZOのPMIをしっかりと進めること、そしてLINE(株)との経営統合を成功させること、この2つが自分に課せられた最大のミッションであると認識しています。一方で、当社グループはまだまだ成長投資の段階にあると捉えており、国内における業界再編の流れの中で有力なサービスを展開する企業に対し何らかの糸口があれば、今後もM&Aを含めた積極投資を実施していく方針です。

また、これからのwithコロナ/afterコロナの時代に向けて、社員の働き方も変えていく必要があります。そこで私が重視しているのは「多様な選択肢」があることです。ずっとリモートワークでも構わないし、オフィス勤務を希望するならそれも可能、といったように、社員一人ひとりが自分の志向や生活スタイルに応じた働き方を選べ、創造性を支援する環境を整備していきたいと考えています。もちろん事業においてもwithコロナ/afterコロナの時代に適合した新たなサービスの開発・提供に注力していきます。たとえば自分の行きたいスーパーマーケットの混み具合がリアルタイムで分かるサービスなど、withコロナ時代における利便性の高いサービスの提供により「新しい生活様式」の創出に寄与していきたいと思います。

2019年度の振り返りと2020年度の指針

国産プラットフォーマーとしてめざす未来

世界に類を見ない複合サービスの連携により
今までにないユーザー体験を実現します

2019年秋、Zホールディングスのスタートにあたって私たちは、グループのミッション「UPDATE THE WORLD」と、ビジョン「人類は、『自由自在』になれる。」を制定しました。これらの言葉には、情報技術によって人類のもつ無限の可能性を解放し、人々が「完全なる自由」を獲得できる世界を実現していきたい、という思いが込められています。

いまインターネットの業界では、米国のGAFAM※1や中国のBAT※2といった巨大企業が世界を席巻しようとしています。当社グループが目指すのは、そうした米中の巨大企業への対抗軸として日本発の「第三極」を形成することです。私たちはLINE(株)との経営統合によって、GAFAMやBATにはない、オリジナリティの高いサービスを創出していくことで、世界のインターネットユーザーに「もう一つの選択肢」を提示したいと考えています。

私たちの強みは、事業領域の広さにあります。GAFAMの場合、EコマースはAmazon、ソーシャルネットワークはFacebook、検索はGoogleといったように、どの企業も得意領域に事業を集中させ、横への展開を積極的に行っていません。これに対して私たちは検索、メディア、Eコマース、メッセージング、ペイメント、金融サービスまで広範囲にわたる事業ポートフォリオを構築し、さらに通信キャリアであるソフトバンク(株)のグループの一員でもあります。通信キャリア事業からインターネットの主要サービスのほぼ全てを網羅する企業グループは、世界を見渡しても他に類を見ません。この独自性を生かすことで、私たちは今までにないユーザー体験を提供できると考えています。たとえばあるユーザーが当社グループの提供する1つのサービスのIDを持っていれば、通信サービスまで含めた他の全サービスを、そのユーザーに最適な形にパーソナライズした形で提供していくことも可能になるはずです。

現在のインターネット業界は、よりデータドリブンでAIオリエンテッドな産業に進化しつつあります。これまでは「非デジタル情報をいかにデジタル化するか」という側面での競争が主体でしたが、これからは「蓄積したデータそのものにどれだけ力を発揮させられるか」の勝負になっていくでしょう。私たちは幅広い領域に事業展開する利点を最大限に生かして、「Yahoo! JAPAN」「PayPay」「LINE」という3つのスーパーアプリを核に、ユーザー毎にパーソナライズ、最適化したサービスの提供をさらに進化させていきます。

※1 Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの5社。
※2 Baidu、Alibaba、Tencentの3社。

成長投資とESG強化

人財や研究開発への積極投資とともに
ESG経営の強化にも注力します

上記のような戦略を推進していくにあたって、当社グループが最も強化すべき経営資源は「人財」です。高度な能力を持つ人財が必要なことは無論ですが、グローバル市場での競争力を高め、持続的な成長を図っていくには人財の多様化も非常に重要な要素になっていくと考えています。グローバル展開が難しかったヤフー株式会社の時代は海外人財の採用にも限界がありましたが、ホールディングス体制となって自由度が高まり、さらに海外でのサービスのプロパティをもつLINE(株)との経営統合により今後はグローバルでの人財採用も一層進めやすい状況になっていくはずです。コロナ禍の影響もあって、現在では世界のどこにいても仕事ができる環境が整ってきています。自国でのサービス拡大に従事する社員、自国にいながら日本の業務を担当する社員、日本に来て秀でた能力を発揮する社員など、グローバルでも多様な勤務形態、雇用形態を可能にしていきたいと考えています。

また研究開発についてもまだまだ強化する必要があります。GAFAMやBATがR&Dに投下する人員や資金は私たちとは桁違いの規模です。それだけの投資ができるのは、彼らのサービスを利用するユーザー数が桁違いに多く、生みだされる収益も桁違いに大きいからです。これに対抗していくには、彼らにはない利便性の高いサービスを創出しグローバル規模で多くの人々の支持を得ること、そしてそれによって得た利益を研究開発に投じることで、さらに価値の高いサービスを生み出していく必要があります。

そのためには、ソフトバンクグループの投資会社であるビジョン・ファンドとも連携して、既存の様々な優れたサービスを統合していくことも重要になります。「PayPay」やYahoo!地図のサービスが実現できたのも、ビジョン・ファンドが出資するインドのpaytmや米国のMapboxの技術があったからこそです。

企業としてサステナブルな成長を実現していくには、ESG(環境・社会・企業統治)に代表される非財務面の取り組みの強化も重要です。「環境」の面については、たとえば当社がデータセンターで使用する莫大な電力をクリーンエネルギーに替えていくことに積極的にチャレンジしています。「社会」の面については、前述した人財の強化に加え、サイバーセキュリティや個人情報の保護、プライバシー尊重など社会の動きに合わせた取り組みにも注力していきます。

「企業統治」に関しても、引き続きガバナンス強化に努めていく方針です。LINE(株)との統合後には社外取締役を増員し取締役会メンバーの多様性を高める予定です。また現在の取締役会にはソフトバンクの出身者が3名いますが1名に減らす予定です。さらにより透明性の高いガバナンス体制を構築すべく、指名報酬委員会の設置も予定しています。

ステークホルダーの皆様へ

より多くの「自由自在」を実現するために
さらなるチャレンジを続けていきます

2018年のCEO就任以来、私は当社グループの多彩なサービスを束ね、複数のデータソリューションを創出し、マネタイズを進めることでポートフォリオ経営の強化に努めてきました。2019年度の (株)ZOZOの買収、ソフトバンク(株)との連携体制の構築、そして2021年3月に控えるLINE (株)との経営統合と、当社グループがより豊かで自由な未来を創造していくための体制は、着々と整備されつつあります。

「GAFAMやBATにどう対抗していくのか?」という大きな宿題に対しても、世界に類を見ない多様な経営資産を複合することで、ユーザーに「もう一つの選択肢を提示する」という方向性を示すことができました。それによって「この人たちならやるかもしれない」という世の中の期待も醸成できました。これも大きな前進だと自負しています。

とはいえ、当社グループの成長戦略はまだ緒についたばかりであり、実際の中身を作り上げていくのは、これからの仕事です。冒頭でも述べたように、私たちは今後医療や教育、行政サービスなどの領域でもDXの積極的な提案を行っていきます。他にもテレワークでの労務管理、電子契約の推進、選挙や裁判のオンライン化など、withコロナ/afterコロナの世界において人々の「自由自在」を実現していくために克服すべき課題はたくさんあります。そうした課題を解決できる多様なソリューションを一つでも多く開発・提供していくために、当面は成長投資に注力していく方針です。

株主・投資家の皆様には、引き続き長期的な視点で当社グループを見守って頂けますようお願い申しあげます。

DISCOVER MORE