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更新日:2021/12/06

Co-CEOメッセージ

データガバナンスを
強化しつつ
PMIを着実に進め、
世界をリードする
AIテックカンパニーへ。

2020年度の総括

2年連続の2桁成長を達成
LINEとの経営統合実現が最大の成果。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、全世界の社会・経済が大きな影響を受けた2020年度(2021年3月期)において、Zホールディングスグループは、あらゆる可能性を考慮に入れ、複数のシナリオを検討しつつ、慎重かつ機動的に経営を進めました。社員の勤務体制も、withコロナの時代に対応した新たなかたちへと柔軟かつスピーディに変更し、健康経営の方針に基づき、一人ひとりの健康・安全を確保しつつ、ユーザーに対する使命を果たすべく、事業の継続に努めました。

 この1年間、コロナ禍という未曾有の事態によって人々の生活様式が大きく変わるなか、私たちは「ユーザーファースト」の気持ちをこれまで以上に強く持ち、ユーザーのくらしを支援する機能・サービスの迅速な提供に注力してきました。その結果、売上収益は1.20兆円(YoY+14.5%)と2年連続の2桁成長を達成できました。特に全体を牽引したのはコマース事業で、eコマース取扱高は3.22兆円(YoY+24.4%)と、前年度から大きく伸びました。利益面でも、調整後EBITDAが2,948億円(YoY+18.8%)と大幅増益を達成できました。コロナ禍が長期化したなか、中長期的な成長を見据え、柔軟な意思決定のもと突き進んだことが、業績拡大につながったと考えています。

 2020年度における最大の成果は、2021年3月1日、かねてより進めてきたZホールディングスとLINEの経営統合を無事に完了できたことです。国内総利用者数のべ3億人強、日本のインターネット利用者ほぼすべてにアプローチが可能になった「新生Zホールディングス」の誕生は、日本のインターネット史上において大きな出来事と言えるのではないかと思います。

データガバナンスの強化

ユーザー目線での横と縦のガバナンスを強化し
世界最高水準を目指します。

 ヤフーとLINEという国内でも極めて多くのデータを扱う企業同士の統合を決めた時点で、データガバナンス、サイバーセキュリティは、“日本のスタンダード”と呼べる最高水準でなければならないという認識を持っていました。

 LINEのデータ取扱いの問題についても、Zホールディングスでは、発覚後すぐに外部有識者で構成される「グローバルなデータガバナンスに関する特別委員会(以下「特別委員会」)」と、同委員会を技術的見地から支援する「技術検証部会」を設置し、LINEが実施してきたセキュリティ基準や、運営体制についての検証・評価を行ってきました。そして、2021年10月18日には、特別委員会による最終報告書を受領しました。

 特別委員会からの提言を受け、LINEにおける自発的な改革・改善を含め、当社としても既にさまざまな改革を進めています。第一は、従来からある「リスクマネジメント委員会」のなかに新設した「データガバナンス分科会」です。同分科会は研究開発部門、データ利活用部門、セキュリティ&プライバシー保護部門で構成され、三部門が一体となってグループにおけるデータガバナンスに関するポリシーやルールの策定、遵守状況の評価・監査を行っていきます。

 また、当社グループ各社では「3ライン・モデル」の考え方に基づいたガバナンスシステムの構築を進めています。「3ライン・モデル」とは、リスクオーナーとしてリスクを適切に評価した上でコントロールする「第1線」と、第1線の活動が適切であるか監視・評価し、助言をする「第2線」、第1線及び第2線の活動が適切であるか監査し、問題があれば改善に向けた具体的助言を行う「第3線」の3つにより、グループ各社の事業実態に即した自律的なガバナンス体制構築を図るものです。この「横のガバナンス」の強化と同時に、データガバナンス分科会によってグループ各社が連携する「縦のガバナンス」を強化することで、当社グループでの一元的かつグローバル事業環境に即した「ユーザー目線でのガバナンス」を実現していきます。

 今後は、別途設置する有識者会議等において継続的に報告し、助言を受けながら、改善・強化に確実に努めていく方針です。日本全体がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる現在、プラットフォーマーとしての使命と責任を改めて自覚し、グローバルスタンダードのデータガバナンス、サイバーセキュリティ体制を、社会・ユーザーの皆様に常に示せる企業になっていかなければならないと思います。

データガバナンスの強化

PMIの進捗

2021年度100億円規模のコストシナジー、
事業における統合効果が着実に出始めています。

 3月のLINEとの経営統合完了以降、さまざまな領域でPMIを着実に進めてきました。上述の情報管理問題により、データガバナンス・セキュリティ強化を最優先課題としたことで、当初の計画から若干の変更はあったものの、PMIは順調に進捗しております。

 事業シナジーの一例として、メディア事業では、Yahoo!広告からLINE NEWS面への広告配信を開始しました。まだ開始したばかりの試みですが、LINE広告からYahoo!JAPANのサービス面への広告配信も予定しており、今後の成長が期待できます。コマース事業では、「Yahoo!ショッピング」、「PayPayモール」や「ZOZOTOWN」との連携により「LINEギフト」が大きく成長しており、今後も当社グループが保有する多様なアセットを活用し、サービスを拡大していきます。戦略事業でも、PayPayとLINE Payの国内QR・バーコード決済事業の統合に向けた連携が着実に進んでおります。

 こうした既存事業でのシナジーとともに、グループ会社との連携による新たなサービスも始まっています。そのひとつが出前館・アスクルとの協働による「クイックコマース」です。実証実験の段階ですが、日用品や食料品の即配ニーズ、拠点・配達オペレーションの実現性を確認でき、注文後最短15分でユーザーに届けるというこの新サービスには、確かな手応えを感じています。また、2021年10月には、NAVERが韓国で展開するサービスを日本向けにローカライズしたオンラインストア作成サービス「MySmartStore」がスタートするなど、NAVERとの具体的なシナジーも既に生まれつつあります。

 事業シナジーに加え、PMIの進捗にともない、コストシナジーも発現しています。グループ拠点のオフィス集約による費用削減、LINE Payの販促・加盟店獲得に係る営業費用の減少、資金調達やコンテンツ調達コストの削減などにより、2021年度通期では、約100億円規模のコストシナジーを見込んでいます。来年度以降も、LINEのデータセンターの一部内製化や、重複領域でのサービス統廃合、調達面での集約化など、更なるコストシナジーの発現を目指します。

 PMI推進において、シナジー発現とともに「企業文化の融合」も重要視しています。ヤフーとLINEは、同じインターネット企業として似通った文化を持つ一方、考え方・進め方に異なる面もありました。しかし、現在では、各部門が密にコミュニケーションを取り仕事を進めるなか、差異の部分に関する互いの理解も進んでいます。その意味では先述のデータガバナンス問題も、結果的に相互理解を急速に深める機会となりました。これからも、更なる企業文化の融合に向け、しっかりと歩みを進めていきたいと思います。

PMIの進捗

非財務資本の強化

経営統合により成長の鍵を握る
非財務資本がより強化されました。

 経営統合によって、今後の持続的な企業価値向上に不可欠となる非財務面の資本も強化されてきています。なかでも大きいのは、モノづくり(サービス開発)のプロセスにおけるプロダクト委員会の導入です。グループが提供するサービスの全体像を長期的な視点で捉え、プロダクトを通してユーザーにとって最高の価値創出を追求するプロダクト委員会ならびにGCPO(グループチーフプロダクトオフィサー)を置いたことで、これまでのヤフー、LINEでのサービス開発とは異なるプロセスが実現しつつあります。現在は、GCPOを中心としたプロダクト委員会を実施しながら、グループ全体に良い効果を波及させていくための方法を模索しております。この仕組みを軌道に乗せることで、より戦略的かつ戦力を集中したサービス作りが実現できると考えています。

 また、LINEとの統合により、グローバルな事業展開力も大きく強化されました。特にLINEの持つ「グローバルな開発力」が当社グループに加わることによって、将来的には国際的な開発体制が各事業に定着してくることを期待しています。

 さらに、経営統合にともなう資本関係の変更も非財務資本の強化に寄与しています。ソフトバンクとの連携だけでなく、韓国最大のインターネット企業であるNAVERとの連携が加わったことにより、当社グループの成長の可能性は、さらに大きく広がりました。

 非財務資本強化の鍵となる「人財」に関しても、新卒採用者をじっくり育成することに長けているヤフーと、ハイレベルの開発者を中途で採用し、活躍させることを得意とするLINEという両社の強みを生かした人財戦略を、グローバルで推進していきます。特に、重要な投資領域である「AI人財の獲得」に関しては、ヤフー・LINE共同でのアプローチを既に開始しており、グループ全体の進捗を確認しながら積極採用を進めています。また、オンライン前提の働き方に変えることにより、働く場としての魅力を高め、世界中の優秀な人財がオンライン上から開発に参画してくれることにも期待しています。

ESGへの取り組み

日本最大規模のインターネットサービス企業としての
社会的責任を果たしていきます。

 PMI推進においては、「ESG」の取り組みも強化しています。E(環境)の領域では、消費電力の大半を占めるデータセンターの省エネルギー化に注力しています。ヤフーは既に「2023年度末までにデータセンターを100%再エネ化」することを宣言していますが、これをグループ全体の標準にまで引き上げていく必要があると認識しています。他にも、自社としてのCO2排出削減を進めるべく200億円の「グリーンボンド」の発行や、国内全体の脱炭素化を後押しするための「企業版ふるさと納税」の寄付先となる、地方公共団体の公募(Yahoo! JAPAN地域カーボンニュートラル促進プロジェクト)など、新しい取り組みも開始しています。

 S(社会)の領域では、先述した「人財の確保」が最重要課題ですが、持続的な生産性向上を図るべく社員の「働き方改革」にも引き続き取り組んでいきます。Withコロナの時代に対応した勤務形態のさらなる拡充・強化に努めるほか、ダイバーシティとインクルージョンにも注力し、従業員一人ひとりが経験や価値観、ライフステージ、属性などの違いにかかわらず最大のパフォーマンスを発揮できる環境づくりを推進しています。加えて、「AI倫理」の確立も、社会面での重要課題であると認識しています。今後、AIの性能は格段に向上し、活用領域がますます広がると予想される一方で、AIによる差別的な評価や人権の侵害など、さまざまな倫理的問題の発生が懸念されています。こうした問題への対処として、当社グループでは専門家から成る「AI倫理に関する有識者会議」を設置するなど、ユーザーがより安心してAIサービスを利用するためのルール作りに努めています。

 また、特に力を入れているG(ガバナンス)の領域では、経営統合を機に取締役会の構成を大幅に変え、多様なバックグラウンドをもつ独立社外取締役を増員しました。これにより、取締役会では幅広い分野の専門知見に基づいた、示唆に富むアドバイスや提言が行われています。特に当社株式の約65%を保有する支配株主が存在するなか、経営の独立性をいかに確保していくかという問題意識は、取締役会のメンバー全員に共有されています。新体制の初年度から「ガバナンス委員会」を設置したのもこのためです。

株主・投資家の皆様へ

グローバルIT企業とは一線を画した独自の経済圏を確立し、
世界をリードするAIテックカンパニーへと成長していきます。

 当社グループは、持続的な企業価値の向上を目指し、中長期的に株価を上げていくことが最大の利益還元であると考えております。そのためには、将来の成長を見据えた事業への先行投資や設備投資を積極的に行うことが重要であると認識しております。

 インターネットを含むICT(情報通信技術)の世界では、周期的に大きな変化(パラダイムシフト)が起きてきました。スマートフォンの普及により、この10年間で生活者の日常は劇的に変わり、近年はAIの活用によりあらゆる領域でユーザー体験が進化しています。さらに今後は、VR(仮想現実)やメタバース(仮想空間)の技術、ブロックチェーン技術が新たなパラダイムシフトを巻き起こすと言われています。そのような激動が予想される時代環境の中で、当社グループはグローバルIT企業とは異なる独自のサービス圏を創造し、ユーザーの日常をより便利に、快適にしていくという基本戦略のもと、ユーザーに最高の評価を受けるサービスの創造にチャレンジし続けていきます。

 日本は世界3位の経済規模がありながら、アメリカや中国に比べ社会・経済活動のデジタル化・DXの推進が遅れていました。コロナ禍を契機に、期せずしてデジタル化・DXの流れが一気に加速していますが、まだまだ日本のデジタルサービス市場は「ブルーオーシャン」と呼べる状況です。拡大余地が非常に大きい市場に対して、既に国内最大規模のインターネットサービス企業である当社グループが、各領域で「ナンバーワン」のサービスをさらに増やしていこうとしています。加えて、台湾、タイ、インドネシアなどアジア地域を中心にグローバルでの事業展開も進めています。株主・投資家の皆様には、このような戦略・取り組みをぜひ、ご理解、ご認識いただき、当社グループの未来に期待していただければと思います。

株主・投資家の皆様へ